
高精細化とともにさまざまな技術の導入が進みつつあるとはいえ,タブレット端末の精細度(例:132dpi)は印刷物に比べ「見やすさ・読みやすさ」の点でまだ改良の途上にあると言えます.基本となる文字の書体・大きさを適切に選ぶとともに,ページを構成するそれぞれの要素に的確に視線が誘導される工夫が必要です.
セクション(章−節構成の節に相当)の先頭ページを開いた際,当該のページを構成する要素(見出し,段落,注記など)の関係を容易に把握できかつ重要度(あるいは順序性)に沿って視線が誘導されるページレイアウトが望まれます.
横書きの文書では,「左上から右下に向かう視線の動き」を基本として「上」あるいは「左」に置く要素を重要と位置付けあわせて「 強調(大きさおよび領域,装飾)」によってこれを補足します.
電子マニュアルでは基本となる文字(段落を表す文字)を12ポイント程度のゴシック体とし,これを基調として見出しあるいは補足に用いる文字を選ぶのが適当です.印刷文書(10ポイント・明朝体)に比べ,多少大きくかつ画面の精細度の影響を受けにくい書体を選ぶ必要があります.
印刷文書においても考慮する必要がありますが,電子マニュアルはさまざまな環境(例:屋外の明るい場所あるいは暗い場所)で 利用される場合があります.とりわけ,液晶画面など表面が反射しやすい素材を用いる画面では,紙に印刷された文書以上に環境が読みやすさに影響を及ぼします.

なお,タブレット端末用の文書ではページ余白を小さく設定して差し支えありません.印刷物では20mm程度のページ余白(印刷機器の都合と手にした際に指が行にかからないための余白)をとりますが,タブレット端末ではベゼル部(液晶画面を取り巻く部分)がページ余白にもなります.タッチ操作に影響しないならば,10mm程度もしくはそれ以下としても差し支えありません.
人の「読む/読まない」あるいは「見る/見ない」は,対象に視線(すなわち,意識)が誘導されるかが一つの要因です.意識が傾注されれば,人は主体的に対象を理解しようとします.
狭い画面にさまざまな要素を配置すると,それぞれが干渉しあい視線が散漫になるおそれがあります.「けい線」ととに「色」によって要素の領域を明確にする手法が有効です.
複数の要素で構成された文書を読む際,要素を区切る工夫がないと視線が散漫になりがちです.要素が仕切りけい線によって区切られていれば,要素のまとまり(関係性)が強調されて視線が散漫にならずにすみます.
要素の四方を囲むだけが区切りではありません.上下だけあるいは左右だけを囲む手法も有効です.また,上側と左側を仕切ると左上に交点が生じ,そこに視線が向かいやすくなります.
また,けい線の線種・太さおよび色を使い分けるのも有効です.種類を不要に増やすのは避けるべきですが,太いと細いの使い分けだけでも有効です(例:手順の最初と最後に太いけい線,途中は細いけい線).

色使いも視線の誘導に有効です.印刷物では印刷コストなどの理由で色を使いづらい場合もありますが,電子文書にはその制約はありません.
色使いの際は,面の塗りつぶしは「淡色」,線と文字は「濃色」が基本です.また,重要事項には暖色(とりわけ,注意事項には黄色系の注意色)を用い,補足事項には寒色を用いるのが適当です.
視線の誘導には,ページレイアウトの上側および左側に色を用いる手法が有効です.加えて色の箇所からけい線が伸びていると,けい線に沿って視線が動きやすくなります.
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