

本文文字の大きさ(ポイント数)を決める
「ワープロ文書の本文の大きさは,10.5ポイントなのか,10ポイントなのか」という議論は無意味
「10.5ポイント説」を考える
10.5ポイントが標準設定(デフォルト)になっているワープロもよく使われいます.
先の項で,ワープロの標準設定である10.5ポイントは現在使われていない「号数活字」に基づく「五号」(約10.5ポイント)の名残りであると説明しました.つまり,10.5ポイントは「和文タイプ」で文書を作成していた習慣を引き継いでいるものといえます.
「10ポイント説」を考える
先に述べたようにワープロ文書では10ポイントを使う“定めている”会社や役所が多くあるようです.10ポイントが習慣化している理由には,おおよそ3.5mm×3.5mmの文字の大きさが人の眼に自然な大きさだからといえます.
人が物を見る際,幅のある物体との間に視角(眼と見る物体との角)ができます.大きな文字(11ポイント以上)はそれ全体を見るために視角を広げる必要がありますし,小さな文字(7ポイント以下)には視角をせばめなければなりません.
人の眼の視角は個人の標準視力と条件に応じたその調整能力によります.心地よく読める文字の(パターンととして捉えることができる)大きさにはある一定の幅があり,その中で多少大きめの「10ポイント」は多くの人が快適に読める(多くの人に支持される)大きさといえると考えます.
判型や目的に応じた本文の大きさを選ぶことが重要-まず判型で考えてみる-
筆者はここで「10ポイントがよい」あるいは「10.5ポイントが正しい」という議論をするつもりはありません.むしろ「8ポイントから11ポイントなふらば本文書体として使える」むしろ「判型や目的に応じた本文の大きさを選ぶことが重要」と主張したいと思います.
文書(A4判の書類やB5判の雑誌)を前にしたとき,私たちの目と意識は何に焦点を合わせようとしているでしょうか.
すなわち「文書を読む際の意識の焦点」は,文書の最大単位である「文書の横幅(判型)」と最小単位である「文字の幅」を行きつ戻りつしていることになります.
つまり,「判型」と「文字の大きさ」は,一定ではなくともある程度の相関の幅の中にあったほうが読む側にとって快適なはずです.
実際にさまざまな印刷物で使われている「判型」と「文字の大きさ」を表にして比べてみましょう.一概な判断はできませんが,大きな判型は大きな文字を,小さな判型では小さめの文字を使うのが一般的です.
判型 | 縦使いした場合の横幅 | 文字ポイント | 1文字の幅 |
縦使いした場合の横幅/
1文字の幅 | よく使われる印刷物 |
| A6判 | 105mm | 8ポイント | 2.8mm | 37.5 | 文庫 |
| 9ポイント | 3.2mm | 32.8 |
|
| 10ポイント | 3.5mm | 30 |
|
| 10.5ポイント | 3.7mm | 28.3 |
|
| A5判 | 148mm | 8ポイント | 2.8mm | 52.8 | 書籍 |
| 9ポイント | 3.2mm | 46.3 |
| 10ポイント | 3.5mm | 42.3 |
|
| 10.5ポイント | 3.7mm | 40 |
|
| B5判 | 182mm | 8ポイント | 2.8mm | 65 | 雑誌 |
| 9ポイント | 3.2mm | 57 |
| 10ポイント | 3.5mm | 52 |
|
| 10.5ポイント | 3.7mm | 49.1 |
|
| A4判 | 210mm | 8ポイント | 2.8mm | 75 |
|
| 9ポイント | 3.2mm | 65.6 |
|
| 10ポイント | 3.5mm | 60 | 文書 |
| 10.5ポイント | 3.7mm | 56 |
判型や目的に応じた本文の大きさを選ぶことが重要-文書の目的でも考えてみる-
上で述べた「判型に応じて本文っ書体の大きさを選ぶ」だけでは少々機械的過ぎるといえます.どの文書にも「目的」と「使われ方」があるはず.
この際の目安として以下のような考え方を提案したいと思います.
これらも一概に適用できるものではありませんが以下のような例が考えられます.
文書の例と目的 | 通常の基本書体 | 文書の目的・使われ方から考える書体の大きさ |
例1:A4版・縦,全5ページ程度の提案書
| 10ポイント・明朝体 |
10.5ポイント(あるいは11ポイント)明朝体
多少大きめの文字で簡潔な表現として明解な印象を与える |
例2:B5版・縦,全1枚の命令書(辞令など)
|
9ポイント・明朝体
10ポイント・明朝体 |
12ポイント・明朝体を選択しても可
大きな文字として少ない内容でも重要な意味があることを文字の大きさで強調する |
例3:A5判・縦,全100ページ程度のリファレンスマニュアル
| 9ポイント・明朝体 |
8ポイント・明朝体を選択しても可
引き締まった印象を受けるとともにページ数を抑えることにつながる |
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