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ワープロで「事物は」と入力して手が止まるならば,一度「事物」に戻るのが適切です.「事物は」と入力する語は,段落の中心的な語(キーワード)であることは確かです.しかし,文の「主語」にすべき語なのか,別の位置付けにすべき語なのか,見直してみる必要もあります.
「書こうとする文章の中心的な語(文のキーワード)」が「事物」ならば,「は」とともに別の語尾も選択肢にして文章を構成する手法を提唱します.
位置付けを“あいまい(主語/文の主題/強調のいずれかが不明確)”にした「は」ではなく,「は」を含め位置付けを明確にする語尾を選ぶと文章が効率よく導かれます.
「語が思い浮かばず,文章が続かない」のは,「事物は」としてしまったために執筆者自身が「述語の候補」を狭めている可能性があります.方向性を変えれば適切な述語につながる可能性があります.けして,執筆者が語を知らないわけではありません.
とりわけ,「主語の“は”」以外で文章を始めると,「本来の主語」とそれに対応した述語の関係が明確な文章が構成されます.
言わば,「キーワード+(語尾)」+「主語と述語が1対1の関係にある文」になります.
この際の,「本来の主語」は文章には表れない“省略の主語”の場合があります.いわゆる「人称」であり,文書によって“私”,“私たち”あるいは“あなた”がその対象となります. これらの「文章に表れない語」を意識すると語が引き出されやすくなります.
例:本調査では,(私は)・・・を明らかにするために,(私は)***試験を行った.
けして,「事物は」で文章を始めてはいけないと申しているのではありません.「事物は」とするならば,位置付けを明確にして用いるのが適当です.
主語に用いるならば対応した述語で文を結び,難しいならば別の位置付け(「文の主題」,「動作・行為の対象」,「動作・行為の原因」など)にしてみてください.
「事物は」を あえて「選択」あるいは「強調」と位置付けるならば,不要に段落の主文(第1文)では用いないのが適当です.むしろ,補足文(第2文以降)で主文の語を“取り立て”て解説する際に用いるのが 適当です.

読みづらい文章(とりわけ,いくつもの文節を含む長文)を 「書こうとする文章の中心的な語(文のキーワード)」の位置付けから見直すこともできます.
「事物は」で始まる長文が文末の述語が対応していないようにとれる場合が多々あります.執筆者が位置付けを意識せず文頭を「事物は」としても,多くの読者は主語と受け取ります.執筆者が「事物は」に対応した述語で文章をまとめないと不自然な印象を与えます.
一見すると「事物は」で始まっていない文章でも,見出し名と相まって「事物(見出し名)は」の構成になっている場合があります.「文章にある語」とともに「文章に表れない語」にも意識を向けると,文章の構造を見直しやすくなります.
「問題の構造を把握する」とともに「解決の選択肢・手法をいくつか用意しておく」ことは技術的な課題の解決法と共通する点があります.「文章を書く」あるいは「文章を見直す」にしても, 技術と同様なアプローチで「語が文章にならない」,「適切にまとめられない」が解決すると確信します.
「文章=文学的」の発想から「文書作成が苦手」と思い込まないでください.文書作成がすべて小説・エッセイあるいは評論のような「文学」であるはずがありません.論理的な技術者の皆さんこそ実務文書の作成が得意なはずです.
少しばかり私見すぎますが,むしろ実務文書の作成手法こそ「本来の“誰しもが学ぶべき文学”」と位置付けるべきと考えます.実務文書から見れば,いわゆる“文学”は「芸術」の一部として扱うべきではないかと思います.

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