

使い分けの原則−常用漢字表
常用漢字表とは
このコーナーでは常用漢字表(あるいは常用漢字)という言葉がよくでてきますので,ここで常用漢字表について述べておきます.
常用漢字表は,それまでの当用漢字表にかわり,現代の国語を書き表すための漢字使用の目安として,昭和56年に内閣訓令として告示されたもので,1945字が収録されています.
常用漢字表の主旨とするところを知るためにこの訓令の前書き以下に引用します.
一 | この表は,法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安を示すものである. |
二 | この表は,科学・技術・芸術その他の各種専門分野や個々人の表記まで及ぼそうとするものではない. |
三 | この表は,固有名詞を対象とするものではない. |
四 | この表は,過去の著作や文書における漢字使用を否定するものではない. |
五 | この表の運用に当たっては,個々の事情に応じて適切な考慮を加える余地のあるものである. |
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つまり,固有名詞や専門用語あるいは過去の表記まで常用漢字表に従って書き直さなければならないというものではありません.また何がなんでも従わなければならないというものでもなく,むしろ実状にあわせた適切な使い方をすべきものとされています.
何を漢字で書き,何をひらがなで書くのか:その1 表外漢字の使用を避ける
常用漢字表の主旨でもっとも重要な点は,現代の国語を書き表す際の漢字使用の目安であるということです.つまり,現代国語における漢字使用の一つの上限を示したものです.
漢字は何万語もあります.ワードプロセッサがあるからといってすべて漢字変換していたらきりがありません.「目安」があるということは実用面においてとても重要なことです.マニュアルをはじめとした技術文書は社会性の高い文書といえます.その意味で執筆者と読者に共通な「目安」が必要になってきます.
したがって,マニュアルをはじめとした技術文書を執筆する際の原則として次のことが言えると思います.
常用漢字表にない漢字,すなわち表外漢字の使用を避ける |
専門分野の用語が一般分野に普及したものの中には表外漢字を慣用的に使用している場合がありますが,一般用語として使用する場合には表外漢字を避けるべきでしょう.専門用語も学術用語集の改訂をはじめ各用語集の改訂の際に常用漢字に改められています.
何を漢字で書き,何をひらがなで書くのか:その2 表外音訓の使用を避ける
常用漢字表は単なる字種の表(漢字の一覧表)ではありせん.漢字の字種(1945字),音訓(漢字の読み),字体(漢字の形),語例を総合的に示したものです.
ここで重要なのは音訓(漢字の読み)です.
したがって,マニュアルをはじめとした技術文書を執筆する際の原則として,表外漢字を使わないことに加えて次のことが言えると思います.
常用漢字表にない音訓,すなわち表外音訓の使用も避ける |
表外漢字と表外音訓の使用を避けるだけでは不十分
先にも述べたように,常用漢字表は「漢字使用の上限の目安」であり「規則」ではありません.文書を執筆する際に,「表外漢字と表外音訓を避ける」ことは,必要条件ですがそれだけで十分とはいえません.もう一つの配慮が必要です
それは「常用漢字だが,ひらがな書きが一般化した慣用表記」が使われているからです.この「慣用」という点があいまいで議論のもとになりがちですが,現実的には「慣用」の存在は認めなければなりません.
次の項目ではその点について解説します.
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