外来語のカタカナ表記
「外来語のカタカナ表記」の考え方
外来語から国語に取り入れられた用語(
あえて日本語訳を使うより外来語を使ったほうが自然で意味の間違いも少なく,一般化した用語
)は
かなかな表記
をするのが原則です.
外来語のカタカナ表記で私たちを悩ませるのは,「原語のつづりまたは発音に忠実に表記」すべきか,すでに「国語化している外来語の慣用に沿って表記」すべきかという点です.
外来語や外国の地名・人名で書き表す際の指針には,「外来語の表記」(平成3年 内閣告示第二号)があります.
ここでは
“法令,公用文書,新聞,雑誌,放送など,一般の社会生活において,現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころを示す”
同時に
“科学,技術,芸術その他の各種専門分野や個々人の表記,固有名詞など(たとえば,人名,会社名,商品名等)にまで及ぼすものではなく,過去に行われたさままな表記を否定するものではない”
としています.
基本的には,「常用漢字表」,「送り仮名の表記」と同じ主旨のものです.
加えて
“語形にゆれのあるもの(ハンカチとハンケチ,グローブとグラブなど)をどちらかに決めようとするものではない”
また
“語形やその書き表し方については慣用が定まっているものはそれによる”,“分野によって異なる慣用が定まっている場合には,それぞれの慣用によって差し支えない”
としています.
カタカナ表記の原則
「外来語の表記」(平成3年 内閣告示第二号)で示している原則とその留意事項を分類してみると以下のようになります.
この平成3年に告示された「外来語の表記」はそれまでの指針であった昭和29年 国語審議会術語・表記報告の「外来語の表記」から大きく変化している点があります.昭和29年の国語審議会術語・表記報告では「日本人として聞き取る音を一定の基準でカタカナ書きする」という特徴がありましたが,平成3年の内閣告示では「原音や原つづりになるべく近く書き表す」という側面をもつようになりました.
原則の分類
「外来語の表記」(平成3年 内閣告示第二号)
1
外来語や外国の人名を書き表すのに一般的に用いる仮名
外来語の表記 本文第1表および留意事項その2
2
外来語や外国の人名を
原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合
に用いる仮名
外来語の表記 本文第2表および留意事項その2
3
撥音,促音,長音に関するもの
外来語の表記 留意事項その2
4
イ列・エ列の音の次の「ア」の音
5
つづりとカタカナ表記によるもの
6
その他(拗音に関するもの,複合語の表記
テクニカルライティングで重要になるには,二番目に示す「外来語や外国の人名を
原音や原つづりになるべく近く書き表そうとする場合
に用いる仮名」です.
情報・通信分野,電気・電子分野をはじめ現在では多くの分野で外来語をそのまま使うことが多くなっています.過去のように日本語の訳語を作ることはあまりしなくなりつつあります(あるいは訳語があっても普及しない).
今日の技術分野では外来語をそのまま原音や原つづりに近く書き表そうとする必要性がますます高くなってきています.
「コンピュータ」には「電子計算機」という訳語があり,これを専門分野でも一般用語としても使っている時代がありました.しかし,現在ではあまり使うことがありません.「スーパーコンピュータ」,「パーソナルコンピュータ(あるいはパソコン)」のようにそのまま外来語を使います.また,「WWWブラウザ」のように訳語がほとんど普及しないまま外来語がきわめて短期間に国語に取り入れられる例が多くなりました.
「movie」には「映画,映画館」,という訳語が一般的ですが,最近では「MPEGムービー」などのように従来の訳語ではあてはまりきらない用語も使われるようになってきています.
平成3年の内閣告示の「外来語の表記」は過去の慣用を否定するものではありませんから従来の表記をそのまま使って支障はありません.しかし,この告示によって科学や技術の分野における用語がより原音や原つづりに近くなり,カタカナ表記がしやすくなったことは事実です.
反面,以前から慣用的に使っている表記と新しい表記とが混じり合い,同じ文書の中で不統一を作ってしまうことがあります.
参考および引用文献
外来語の表記(平成3年6月28日)内閣告示・内閣訓令
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